ラストサムライとは違う日本の 原風景
はじめに、マスコミ向け試写会に行ってきました。原作は読んでいませんので、映画をフラットに見たと思います。
【ストーリー】
100年前の日本、ってことは明治も終わりの頃、文明開化の波がようやく農村部にまで及ぼうとしていた頃。人里離れた山には蟲という存在があり、常人には見えなくとも人体にも影響を及ぼしていた。その蟲を研究し、蟲の影響を取り除く「蟲師」という者たちのなかに、ギンコ(オダギリジョー)という白髪・碧眼のものがおり、諸国を旅している。ギンコには幼少の頃の記憶がない。淡幽(蒼井優)という蟲の記録を取り、文字で蟲を封じる少女に呼び出されたギンコは、旅の途中で虹に似た蟲を探し続ける虹郎(大森南朋)に出会い、2人は共に旅するようになる。原因不明の病に倒れた淡幽を助けるため、自らも蟲に冒されるギンコ。物語はギンコの過去と現在をつないで佳境へ。彼の素性の秘密とは?
日本人が日本的と感じる山間の原風景。美しく、荘厳で、不思議な冷たさのある空間。オダギリジョーの淡々とした演技が染みる。蒼井優は息をのむような凛とした美しさ、江角マキコの力強い存在感、映像としてすごい一体感を持って迫ってくる。ストーリーはやや展開力に欠け、起承転結のメリハリがわかり難い。が、別に勧善懲悪のヒーローアクションでもなし、蟲という不思議な存在と人間の関わりが主題ならそれもまたアリかと。ちなみに監督は「AKIRA」の大友克洋。