2011.1.22に開催された CSS Nite LP, Disk 13 に参加しました。
今回のLP13は、スマートフォン特集(1)として、iPhone/iPad向けWebサイト・Webアプリ・ネイティブアプリの制作が取り上げられした。
今回も8セッション・6時間超の濃密なセミナーでした。主催の鷹野さん、スタッフの方、スピーカーの方々、参加されたみなさんに感謝です。
以下、各セッションについて感想とか。
スマートフォン時代のWeb制作(谷 拓樹さん)
谷さんのセッションは、スマートフォン対応のwebサイト制作について概論的に4つのトピックを取り上げられました。
- スマートフォンの普及
- デスクトップとスマートフォンの違い
- スマートフォン対応の実装4パターンの比較
- これからのWeb制作(Mobile First)
LP13を通して一番印象に残ったフレーズでもある「Mobile First」。ケータイサイトに特化した方を除けば、これまでPCを中心にしてきたWebサイトが、いよいよ新しいステージに向かいつつあることを感じました。
ライブコーディングで学ぶ、iPhoneサイト制作のキホン(たにぐちまこと さん)
たにぐちさんのセッションは、3分クッキング的ライブコーディング。と言いつつ、ワイヤー的なものの制作やデザイン作成のことから、コーディング(Zenコーディング)のTips、動作検証まで、実に盛りだくさんな内容をデモしていただきました。
内容ももちろんですが、マイクを片手にライブデモを流暢に進められるプレゼンもステキでした。
iPhone/iPadサイト制作でHTML5フォーム活用+α(益子 貴寛さん)
益子さんのセッションでは、HTML5とiOS実装が中心トピック。HTML5の基本、iPhone/iPadで利用できるHTML5の新要素と注意点、iPhone用サイトでのフォーム、デバイス切り替えのこと、GeoLocationAPI etc…、応用範囲の広い技術的なお話でした。
HTML5で追加されたフォーム関連要素の属性のお話は、まだ試せていなかった部分でもあり、参考になりました。iOSではラジオボタン/チェックボックスのラベルが効かないことには、私もハマったことがあます(未解決のまま諦めました)。
「〇〇っぽさが大事」というのも非常に共感しました。
iPhone/iPadサイト制作でハマらないために(高津戸 壮さん)
高津戸さんのセッションでは、iPhone/iPad用サイトでハマりやすいポイントを解説。スクロール周りやアニメーション処理など、デバイス固有のUIやスペックよる注意点が参考になりました。「革新的で魔法のようにトラブル多発」というフレーズが印象的。
高津戸さんのプレゼンは、「高津戸節」とでも言ったらいいのか、氏のキャラクターが全面に出ていて、聞いていて楽しいのが特長です。ちょっとマニアックな話題を、誰にとっても分かりやすく話されるのがスバラシイですね。
iPhone/iPadサイト制作でのCSS設計とデザイン最適化事例(小山田 晃浩さん)
小山田さんのセッションでは、デバイス毎にCSSを切り替える手法が説明されました。具体的にはメディアクエリーによるCSS適用の切り替えについて、ソースを交えて解説。また、CSSだけで対応できることには限界があるなかで、設計やデザインの段階から意識しておくことについても言及されていました。
小山田さんはパンクっぽいというか、一見すると怖そうな感じが印象を受けますが、柔らかい口調で話されます。ソースの解説のような非常にテクニカルな話題を、丁寧に分かりやすく伝えてくださるのが印象的です。
Web制作のノウハウでつくるiPhoneアプリ(外村 和仁さん)
ピクセルグリッドさん3連発のトリは外村さん。ネイティブアプリの制作について話されました。ネイティブアプリと言っても、Webサイト/Webアプリをネイティブアプリ化する手法ですので、あまり敷居が高く感じませんでした。
地方におけるミニマムなiPad用Webアプリ制作事例(多田 吉臣さん)
多田さんからはiPadアプリを開発された経験のお話でした。マーケティングよりのトピックで、LP13の全セッションの中で、個人的には一番良かったセッションです。
iPadアプリをクライアントワークで製作された経験談なのですが、途中まで成功事例と思わせつつ、実はあまりうまくいかなかったと事例だったというダイナミックな展開。何ごとも成功よりも失敗から学ぶことが多いわけで、経験者ならではの反省が参考になりました。
クライアントさんと良好な関係を築いておられるのも印象的でした。
教科書には出てこない!?iPhone のUIトリック表現(比留間 和也さん)
オオトリの比留間さんからはiPhone的なUIについて。凝った独特のUIは、得てして使いにくいものになってしまうという点と、実際にotonaticというWebアプリを製作された過程を解説されました。
後半のotonatic開発の件は、ユーザー像や利用するシチュエーションが想定され、それに合わせてアプリが開発されていく過程が参考になりました。
まとめ
2008年にiPhoneが日本で販売開始され、2010年にはiPad発売・Androidケータイの本格展開が始まりました。今はまだ「先進事例」「先行実装」という面もありますが、「ケータイ以上、PC未満」というデバイスが普及しそうな勢いを感じます。この状況にどうコミットしていくかは、Web制作を生業にするものにとっては大きなトピックだと思います。
また、多田さんのセッションが CSS Nite LP, DIsk13 で一番良かったのは、マーケティングよりの話だったからです。とりわけ、効果検証/アフターフォロー的な話はすごく良かったと思います。Web制作において、テクニカルな部分はもちろん大切です。しかし、それ以上に「クライアントのビジネスにどれだけ貢献できるか」を問われていると感じています。
そんなわけで、最近感じている課題とタイムリーなテクニカルなトピックが合わさって、非常に刺激的なセミナーでした。さぁ、今日から新たにがんばろう!って気分です。