さよなら京都日記、その1。私の好きな日常の京都。
京都市は人口140万人を数える政令指定都市、人口規模で言うと全国6位の大都市です(東京23区を除く)。歴史は古く、8世紀の終わりから19世紀まで実に1,000年以上も日本の都(首都)であり続けました。その辺の普通の神社や寺が国宝級だったり、下手に土地を掘り返そうものなら何が出てくるかわかりません。京セラや佐川急便、ローム、ワコールなどの日本有数の企業やまぐまぐやはてなと言ったネット企業も京都から生まれました。一方で閉鎖的で、気位が高いところもあります。夏は無駄に暑く、冬は底冷えがします。春の桜と秋の紅葉に一喜一憂するのが京都人です。
京都の景観はチグハグです。東京や大阪のような超高層ビルはありませんが、由緒ある建築物を取り囲むようにマンションや商業ビルが建っています。京都の最大の資源は観光ですが、市民の日常生活はやっぱり便利さを求めます。世間が求める「日本らしさ」を感じられる地域は非常に限られているのが現実です。
この非常にミスマッチな京都の現実が実は好きだったりします。世界遺産のすぐ脇を幹線国道が走っていたり、都市計画は支離滅裂かもしれないのですが、そこには市民の生活があり、泣いたり笑ったりという日常と、伝統や文化遺産が自然に解け合っているのです。例えば、四条河原町という京都の繁華街の交差点では信号機がしまえるように作られています。祇園祭で山鉾が巡行するためにです。山鉾の保存も、オフィス街の雑居ビルのように建っていたりします。
窮屈な思いをしてまで都市の景観を守る訳でもなく、かといって古いものを捨てる訳でもなく、折り合いのつく範囲で上手くやっていく。そういう日常の京都が好きです。
京都在住最終日は楽しめましたか?
まあ荷物運びだの雑務だのなんだので、楽しいってことはあんまないんじゃないかとは思いますが…。
そういうあわただしさの合間にふと日常の風景、空気なんかに気づいたりすると、それまで意識してなかった部分まで良さが分かっちゃったりして、記憶がやけに残っちゃったり…なんてことがよくあったよ。
本当に本格的なふるさとってのはまあ誰にでもあるもんじゃないし、これからの静岡生活で人生の地盤部分を固めまくるってのもいいんじゃない?あとけん一くんのお子もぜひ…。